◆先日の記事「改めて消費税増税を考える」について、ご意見を頂戴しています。ご意見を頂いた方もご自身のブログで主張されていますので、当方も、当ブログにてご意見を紹介しつつ、反論させていただきたいと考えます。

    ◆先日当方の記事では、財務省ホームページにある「(消費税収は)景気動向に左右されにくい性格を持っています(下図の通り)」という説明を「恣意的」とし、①消費税収は景気動向の影響を受ける可能性がある、②消費税収が増えても、他の税収の落ち込みにより税収全体が減少する、もしくは増加したとしても想定以下の増収になるのではないか、という危惧を示しています。

    H24.4.18消費税収2-財務省

    ◆頂いたご意見では、

    【先方ご意見】
    「「消費税増税で税収全体は思うように増えるのでしょうか。」というのは、暗に増えないということを示していると推察します

    とあるのですが、これは当方の記事が誤解を招く内容だったかもしれませんが、当方としては

    【当方主張】
    「増税の予感だけが強まり、景気の先行きは不透明です。これでは消費税増税を行っても、その効果は相当減殺されることを覚悟する必要があります。」

    と記載しており、必ずしも税収全体が減ると考えている訳ではありません。消費税増税を行っても問題(財政再建・社会保障制度維持のための財源確保)が解決できないのではないか、と考えております。

    ◆また、当方は、「税収全体が増加するとは限らない」としている根拠として、消費税率が3%であった平成8年の一般会計税収が52.1兆円であることに対し、消費税率の引き上げ後、この52.1兆円を上回った年は平成9年のみ、という事例を示しました(下表の通り)。

    H24.4.18税収2-財務省

    ◆これについて、他の税制での減税が重なっているためではないか、というご意見を頂きました。

    【先方ご意見】
    ・所得税の最高税率が、従来50%⇒37%引き下げ
    ・11年(度)分~18年(度)分間定率減税の実施。(所得税額の20%相当額)
    ・住宅ローン減税
    ・平成19年、所得税から住民税へ(3兆円の税源移譲)。所得税が減り、住民税は増える。

    更に
    ・法人税の減税
    1981年、42.0%(財政再建のため)⇒1990年、37.5%(抜本改正本則税率、消費税導入)
    1999年以降30.0%になっています。

    ◆ご意見では、上記の一連の減税がないと仮定して、税収を試算すると、必ずしも税収が減っているとは言い難いという疑義を示されています(具体的には平成9年以降、15年間で、約半分の年が増収だったとされています)。

    ◆確かにご指摘の通り、税収全体を考えるならば、他の税制の変化も考える必要あります。しかし、もう一度財務省ホームページにある下図のグラフをご覧ください。

    H24.4.18消費税収2-財務省

    ◆財務省の主張は景気変動について記載しています。このグラフの意味するところは、他の税収が景気の変動によって減少したということと推測します(邪推かもしれませんが)。もし、他の税収が景気だけでなく、税制の変動によって減少しているならば、その減税を撤回することも考えられるはずです。従って、当方はこれまでも税制全体の改革を主張してきました。

    ◆今回の消費税増税に際して、他の税の減税は今のところ検討されていません(経団連等は法人税減税を求めていますが)。そのため、消費税増税を行いながら、税収全体が減少するというリスクは小さいのかもしれません。しかし、消費税増税が景気に悪影響を及ぼすリスクは考えられます。財務省の説明に従えば、景気変動によって所得税・法人税の減収のリスクはあるといえます。

    ◆逆に、財務省のグラフを恣意的として、景気変動によっても所得税・法人税の減収のリスクが小さいならば、消費税増税ではなく、所得税・法人税の増税を行ってもよいはずです。他の税制改革の影響による税収の変動という考え方に至ると、財務省の「景気変動の影響を受けにくい→消費税の増税が妥当」という筋立てに狂いが生じるのではないでしょうか?


    ◆次に、当方の記事、

    【当方主張】
    ・消費税収が激変する程の名目GDPの変動がなかったために、消費税収は10兆円前後で推移したと考えています。

    ・消費が増えもせず、減りもせずという状況では必然的に消費税収は安定するはずです。景気変動の影響を受けていないのではなく、課税対象の消費が安定していたというだけで、消費が落ち込めば、必然的に消費税収も減るはずです。

    に対して、以下のご意見を頂きました。

    【先方ご意見】
    2009年は、GDPが1990年時まで減少しました。(中略※)2009年の消費支出は減少しています。(あくまで受けにくいのであって受けないということではありません)しかし、消費税収は激変していません。つまり、これまで名目GDPが変動しても、消費税収を激変させるような事実ありませんでした。

    ※この部分は上記の当方主張の転載ですので省略いたしました。

    ◆このご意見は議論が平行線になるかもしれませんが、当方は以下のグラフにより名目GDPの変動と消費税収の変動には関連があると考えております。

    H24.4.18消費税収の推移(5)

    ◆1990年時までの名目GDPの変動は、1998年を100とすると92(8%減)です。消費税収は1998年を100とすると97(3%減)です。問題はこれをどのように評価するかです。当方は「消費税収が減少したのだから、景気変動の影響を受けている」とし、先方は「消費税収の減少幅は相対的に小さい(消費税収を激変させるような事実はない)」というご意見かと思います。

    ◆その上で、

    【先方ご意見】
    「課税対象の消費が安定していたというだけで、消費が落ち込めば、必然的に消費税収も減るはずです。【当方主張】」というのは、その無かったことを心配して消費税の効果を疑問視して、減るはずという仮定において消費税収の減少を主張しているに過ぎません。(仮にそこまでの消費税収の減少、つまりGDPの6割をも占める消費支出の減少は、それこそかつてない未曾有の大不況ということになります)

    というご意見を頂いております。

    ◆主張の違いはやはり過去の評価にあると考えます。「消費が落ち込めば、必然的に消費税収も減る」という事態は「無かったこと」でしょうか?2009年は消費の減少、消費税収の減少を招いていると筆者は考えます。また、理論上、消費税収は課税対象の消費の増減に必ず左右されます。課税対象の消費の減少(未曾有の不況の発生)を否定する根拠は乏しいように感じます。

    ◆加えて、現在の議論は将来の予測ですので、当方は「消費が減った」という過去の評価に基づいて、消費の減少という仮定を立てておりますし、先方は過去にそのような消費の減少はないとの評価に基づいて、消費の急激な減少はないという仮定を立てられています。仮定を立てて主張しているという点では、当方と同じではないでしょうか?

    ◆議論の決着が難しいところですが、筆者の税制改革の効果に関する意見を以下の通り列記いたします。

    1.消費税率を上げれば消費税収は増える(これはおそらく断定できると思います)。
    2.ただし、「課税対象の消費」が減少する可能性があり、消費税収は思うように伸びないのではないかという疑義が考えられる。
    ※「課税対象の消費」が減っても、税率はアップしているため、消費税収は増えるはずです。
    3.「課税対象の消費」の減少が景気の悪化を招き、他の税収を減少させるリスクがある。
    4.税収自体が減少するか、予測程伸びない可能性がある。

    以上は、過去にこのような事実はなかったとして、意見が分かれているところです。しかし、この疑義、リスク、可能性の問題について、当方は引き続き懸念を持っております。

    ※ただし、先方は当方の主張が「税収は減る」というご解釈でしたので、「税収が予想ほど伸びない」という可能性であれば、もしかしたらご同意いただけるかもしれません。


    ◆もう一点、当方の主張である財務省の主張の恣意性については以下の通り考えます。

    5.消費税収が景気動向に変動されにくい(他の税は景気動向の変動の影響を受けやすい)という財務省の主張は、恣意的ではないかと考える。

    ◆消費税収だけを取り上げる財務省の主張は「重箱の隅」をつつくものと考えます。当方は税収全体(重箱)を見て議論すべきという方向に見解を変えて、先日の記事を記載しましたが、大変恐縮ながら、財務省の主張を恣意的ではなく、妥当と指摘されるならば、税収全体の見通しを示さないことはどのように評価されているのか疑問を感じます。

    ◆加えて、頂いたご意見から考えますと、ご試算されました通り、財務省は他の税の減税等を考えない場合の試算を示す必要もあると考えます。その複雑な工程を経ずに、財務省が「消費税は景気動向に左右されにくい」と主張することは、当方は、他の税の増税論を封じ、消費税増税の正統性を主張するために、あえて不都合なデータを割愛した「恣意的な」説明と考えます。

    ◆当方の結論は、確かに財務省への不信に基づくものです。財務省に下心はなく、消費税制の性格だけを説明している、とすれば、確かに恣意的な説明ではないかもしれません。しかし、消費税推進論者の主張を見ると、この消費税収の性格が財務省の純粋な意図(財務省を疑わない場合)に反して利用されているケースが散見されます。

    ◆加えて申し上げますと、当方の主張にこれだけのご意見を頂戴することも、財務省の説明が不十分な根拠とはいえないでしょうか?最終的に財務省の主張を恣意的と判断するかは、内閣支持率に似て、感覚論に行き着くかもしれませんが、当方は自身の主張が飛躍した意見とは考えておりません。

    ※決して皮肉ではなく、財務省の説明が足りない故に、様々なご説明を要しているという意味です。財務省への不信感から申し上げています。どうかお気を悪くなさらないでください。


    ◆その他に、ご意見では他に、「グラフをみれば消費は増加傾向で、むしろ投資不足が目立ちます」というご指摘を頂きました。投資不足が名目GDPの増減の要因とのことです。当方はそのご指摘に異議はありません。

    ◆しかし、筆者の消費税制に対する無知ゆえの質問かもしれませんが、投資・消費の区別は「課税対象の消費」とは関係がないのではないでしょうか?例えば企業が投資を行い、他の企業に事業を発注する際、発注を受ける企業にとってはその売り上げは相手の「消費」ですので、消費税を納税する必要があると考えますがいかがでしょうか?


    スポンサーサイト
    2012.05.24 Thu  - 議論中 -   コメント 0件

    コメント

    コメントの投稿












    トラックバック

    トラックバック URL
    http://olddesk77.blog97.fc2.com/tb.php/463-344eff7b
    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)