◆先日の記事「中国などによる地名等の商標登録について」において、ブルガリアヨーグルトも「ブルガリア」という地名を使っており、仮にブルガリアのヨーグルトメーカーが「ブルガリアヨーグルト」という商品名を使用したいと主張した場合、問題になるかもしれない、という記載をいたしました。これについて今回の中国の件と一緒に扱うことが適切か、ご意見を頂きました。

    ◆明治ブルガリアヨーグルトの名称使用の経緯については、ご意見にて以下のサイトを紹介いただきました。

    http://www.meijibulgariayogurt.com/knowledge/bulgariayogurt/001.html

    確かに、中国等で見られる悪質・野放図な商標登録と異なり、きちんと筋を通した名称であることが分かります。この点については筆者の不勉強です。不快な念を抱かれた方には心からお詫びいたします。

    ◆先日の記事の主題として、筆者は「知的所有権の保護を無制限に認めるべきか」という問題意識を持っており、ブルガリアヨーグルトについても、仮にブルガリアのメーカーが「ブルガリアヨーグルト」の使用を求めてきた場合、筆者はその使用を認める、すなわち明治の商標権は認められないのではないか、という考え方を持っています。

    ◆これを中国等の件に置きかえると、讃岐うどんなどの商標を日本のメーカーが使用することは当然、という考え方に立っています。そもそも「ブルガリア」「讃岐」といった名称は商標など知的所有権としての保護の対象には相応しくないと考えています。日本独自のスパゲティ料理であるナポリタンも、ナポリ市の許可を得ていないでしょうし、特に商標登録も見られません。

    ◆知的所有権を巡る争いは激化しています。その背景には「知的所有権は絶対に保護すべき」という先進国の理念や法体系と、それを利用する発展途上国の法体系の未整備や表には出さないものの先進国の理念に同調していない現実があります。

    ◆確かに知的所有権は認められるべきです。発明に至る投資や困難を考えれば、それに見合う利益(知的所有権の保護)がない限り、商品開発投資や技術革新は進まないでしょう。しかし、発展途上国が先進国の後塵を拝する限り、知的所有権は次々と先進国が獲得し、国家間の格差は縮まらないことも事実です。

    ◆もちろん、日本のように発展途上国から身を起こして技術大国になった事例もありますが、全ての国がそのような道のりを歩ける保証はありません。もはや先進国といえる韓国ですら、まだ一人のノーベル賞学者を輩出していないのです。

    ◆一方で、現在の先進国と発展途上国は、帝国主義時代の旧宗主国と旧植民地の関係とほぼ同列に扱えると考えます。発展途上国の現在とは先進国の過去の姿で、将来発展すれば先進国になる、という、国の成長の一過程と見られがちです。しかし、それは先進国の思い込みに過ぎず、発展途上国は先進国の支配によって現在の地位に甘んじていると考えがちです。

    ◆知的所有権の保護は、その技術を未来にわたって先進国が保持し続けることで、発展途上国はより高いハードルの技術開発を先進国より先んじて実現しなければ、技術開発競争で優位に立つことはできません。つまり、先進国と発展途上国の関係を将来にわたって拘束しかねない問題なのです。

    ◆しかしながら、一方で先進国がこれまでの開発で破壊した地球環境の問題については発展途上国にも協力が求められます。先進国が帝国主義時代に植民地から持ち去った歴史遺産、例えば大英博物館に保存されているエジプトのミイラなどは返還を求めても返還しない。先進国が開発した知的所有権は絶対的に保護しながら、地球環境や歴史遺産は人類共有のものと主張する。

    ◆この先進国のエゴに発展途上国が納得するかどうかは、発展途上国の国民心理に立ってみないと分からないと筆者は考えます。中国等で、知的所有権の保護を逆手に取った手法で先進国の利益を犯そうという試みが起こることは違法行為であっても、善悪観念に立った場合、完全な悪と呼べるのかどうか疑問を感じます。

    ◆先日の記事「中国などによる地名等の商標登録について」の末尾では、アップル社の名称や会社のマーク(リンゴのマーク)は本当に知的所有権の保護の対象なのかと、やはり感じます。アップルもリンゴのマークも、明らかに人類共有の一般名称ですし、本当に保護すべきなのかどうか疑問です。

    ◆アップル社の製品のデザインについても、同社の製品は総じてシンプルなデザインが多いため、これを模倣するなと主張しても、そのシンプルさ故に、総じて似通ってくると考えます。独創的なデザイン(ピカソの絵等)を真似れば、それは知的所有権として保護すべきかもしれませんがものであれば、シンプルなデザインは模倣の恐れがあると思うべきではないでしょうか?

    ◆無論、上記は筆者の個人的な考えですし、法的に明確に線を引けない問題です。それ故に、筆者は先般の記事でも記載した通り、難しい問題と考えます。


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    2012.03.16 Fri  - 社会 -   コメント 0件

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