◆今週の日曜日、久々に日本テレビの「笑点」を見ていましたら、2月19日は「プロレスの日」ということで、それにちなんだお題が出されました。1955年2月19日、日本で初めて、プロレスの本格的な国際試合、力道山・木村政彦組対シャープ兄弟の試合が開催されたこと、に由来しているそうです。

    ◆番組のお題は、隣の人(もしくは司会の桂歌丸さん)に力道山の空手チョップを行い、隣の人が「なんだよ!?」と切り返してきたら、後を巧く続ける、というものでしたが、ふと、先日NHKが報道したK-POPの海外戦略に関するニュースを思い出しました。KARAや少女時代の日本での活躍はもはや特筆すべき事項ではありませんが、K-POPの人気はアジア全体に広がっています。

    ◆ニュースの内容は、このK-POPの海外戦略と韓国製テレビの販売戦略が共同で進行しているという内容でした。海外の家電販売店では、日本製テレビは風景などを映していることが多いそうですが、韓国製テレビはK-POPのコンサート等を映していることが多いそうです。K-POP人気をメーカーが活用し、またテレビの普及でK-POPは人気をより広げられる、という思惑です。

    ◆日本の高度成長期の映像を思い浮かべると、人々がテレビを囲んでいる場合、まさに、力道山の空手チョップが炸裂しているシーンや、大相撲、歌番組、あるいは東京オリンピックのように、映像も音声も躍動しているシーンを注視していたのではないでしょうか。プロ野球の長嶋茂雄氏の国民的な人気や紅白歌合戦の異常な高視聴率も、娯楽がテレビに集中していた故でしょう。

    ◆近年の日本では、テレビの販売戦略に地上デジタル放送への切り替えスケジュールが組み込まれたため、従来のブラウン管テレビ・地上アナログ放送よりも、液晶テレビ等でハイビジョン放送を受信した場合の、画面の美しさが強調されました。そのため、家電量販店では、ともすればNHKのBSチャンネルが放送する日本や海外の風景の映像が流されています。

    ◆しかし、アジアの新興国において、そもそも初めてテレビを買う、という購買層は、従来のブラウン管テレビを知らない訳ですから、液晶テレビ等との画質の差を検討材料には入れないでしょう。テレビの革新性は、それまで絵画や写真が静止画しか提供できなかったのに対し、映像が動き、音声を伴うことにある訳ですから、視覚・聴覚に訴えるプロモーションが有効なはずです。

    ◆高度成長期の日本で誰もがテレビを欲しがった理由は、リアルタイムで映像と音声を楽しむことにあったはずです。日本では、いつの間にか、テレビの最も基本的な機能への関心が失われていったのではないでしょうか。その感覚を海外市場にも持ち込んでいるとすれば、日本製テレビの劣勢は感覚的にも納得してしまいます。

    ◆先日、映画「トランスフォーマー」の第3作をようやく見ました(事情があって映画館にいけませんでした)。「トランスフォーマー」の第1作ではノキア製の携帯を見たキャラクターが「日本製はすごい」と感嘆し、「ノキアはフィンランドの会社だ」とコメントするシーンがありました。ところが、第3作では「このコピー機は日本製か?操作が複雑だ」というコメントが出てきます。

    ◆この映画が日本製品のイメージを正確に物語っているとはいえませんが、日本製品を「複雑な商品」と評したことは注目に値します。昨今、新しい家電製品を買った際に、分厚い説明書に閉口させられるケースは多いのではないでしょうか。筆者も、テレビも、DVDレコーダーも、備えられている機能の全てを使用したという自信は全くありません。

    ◆日本の製品は確かに高付加価値製品なのかもしれません。しかし、その高付加価値を消費者が「複雑」とイメージしているなら、もはや、それは付加価値とはいえないと考えられます。iPhoneはおサイフケータイ(電子マネー機能)、ワンセグ機能(携帯向け地上デジタル放送を受信する機能)を搭載していませんが、日本製の携帯電話より人気があります。

    ◆ありきたりな話ではありますが、やはり付加価値とは、消費者がその商品を所有した際に、どれだけの充実感を持てるか、にあると考えます。テレビは、テレビを持つことによって得られる情報や娯楽の機会を拡大するでしょうし、iPhoneはファッション性を高め、また必要とする機能をアプリとしてダウンロードできることにあるのでしょう。

    ◆日本製品では、生産者が新機能を詰め込むことに注力し過ぎだったのかもしれません。その結果、より付加価値の高い製品を求めて、機能を増やしていく。iPhoneはそんな常識を破って、消費者が必要な機能を好き勝手に追加できるようにしたことに成功のカギがあったのでしょう。また、日本製品のイメージ戦略の弱さは、「機能」にばかりとらわれていた結果ではないでしょうか。

    ◆映画「ミッション・インポッシブル」ではiPadやアップル社のパソコンが使用され、BMWが登場しました。他の映画でもアップル社のパソコンはよく見ます。しかし、ソニーのパソコンが映画で使用されるケースはソニーピクチャーズの映画が大半です。日本のドラマでさえ、アップル社のパソコンが使用しているケースが増えているとも感じます。

    ◆ソニーのウォークマンも一時代を築いた商品ですが、今やiPodの前に劣勢です。ウォークマンに対応したスピーカーはソニー製が大半ですが、iPodに対応したスピーカーは多くの会社が製造しています。自動車に関して意図的に悪い事例を出すと、先日、ドラマ「ストロベリーナイト」では、レクサスは暴力団の組長の車として登場していました。BMWの扱いとは対照的です。

    ◆新興国市場で家電を販売するためには、機能をシンプルにし、低価格商品で勝負する必要があるそうです。この取り組みを「逆イノベーション」と呼ぶそうですが、イノベーション・逆イノベーションともに実現できないまま、テレビ事業から撤退する日本メーカーが出ています。しかし、日本製品のブランドを守るために、もっと努力できる余地があったのではないでしょうか。

    ◆現在のKARAの活躍と、過去の力道山の栄光を比べながら、韓国製品の隆盛と日本製品の斜陽を感じました。ちなみに、2月19日の「笑点」の締めくくりは、

    三遊亭圓楽さん「(空手チョップを)国民の皆様にえい!えい!えい! 」
    桂歌丸さん(国民を代表して)「なんだよ!?」
    三遊亭圓楽さん「我が党のマニフェストは、いつも空手型(空手形)」

    でした。秀逸です。さすが圓楽師匠、恐れ入りました。




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    2012.02.23 Thu  - 経済 -   コメント 0件

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