◆先日の記事「河村名古屋市政に見るリーダー公選制の問題(1月10日投稿)」について、ご意見を頂きました。以下、その要旨です。本稿にて、このご意見に返信させていただきたいと考えます。

    1.参議院を廃止し、一院制にする。一院制にすることで、ねじれ国会等による政治の混乱を防止し、政治における意思決定のスピードを向上させる。

    2.裁判官、弁護士等の司法関係者および大学の法学部教授等の互選もしくは行政府の任命により国会で議決された法律の憲法・既に施行されている法律との整合性審査等を行う機関の設置(内閣法制局の機能を移管するということと解釈しています)

    ◆まず、一院制について、先に結論を申し上げると、筆者の意見は二院制を維持しても構わないのではないかと考えています。先日の記事では、参議院の権力が強すぎることにより、政治が混乱しやすい、意思決定の速度が低下するという現行制度のデメリットを指摘しました。筆者は、参議院の任期を4年に縮め、ねじれ国会等の減少を早期に是正すべきと記載しました。

    ◆頂いたご意見では、この対策では不十分ではないか、とのご指摘も頂戴しています。筆者もその点については同意見で、任期を縮めるだけでは不十分だと考えます。ただ、従って、即時に一院制にすると、二院制が持つ以下のようなメリットを放棄し、新たにデメリットも発生することが考えられます。

    <メリット>
    1.参議院選挙は必ず定められた時期に実施されるために、政権・政権与党の定期審査を行うことが可能となる(衆議院は政権の意向で選挙の時期を選ぶことができるが、参議院はできない)

    2.参議院は、任期が保証されているため、長期的な視点で予算・法案の審議が可能。

    <デメリット>
    1.衆議院は政権の支持率の高い時期等を狙った戦略的な解散が可能で、一時期の世論で議席配分が構成されやすい。この衆議院のみの議会となった場合、選挙後、公約に反した法案、民意に反した法案を政権は容易に通過させることができる。

    2.上記の仕組みを応用すれば、憲法改正も容易に進めることができる(国民投票で否決することも可能ではありますが、国民投票までにやはり十分な審議が必要と考えます)。

    ◆現行の参議院が上記のメリットを十分に発揮しているかと問われると、筆者は極めて疑問を感じています。しかし、これは参議院の制度の問題です。

    ◆筆者は、参議院は政権の意向、与野党間の政争に左右されず、長期的な視点で法案を審査する本来の機能を取り戻すために、次の点を制度として組み込むべきだと考えます。

    1.参議院での首相指名(通常は衆議院の議決が優先)、参議院議員の首相・閣僚の就任禁止
    2.参議院における党議拘束の禁止
    3.参議院の選挙制度は中選挙区制度のみとし、比例代表制度を廃止
    4.両院協議会の機能強化
    5.参議院で否決された法案の再可決制度の見直し

    ◆上記1~3により、参議院から大臣等を選出しないため、参議院は完全に行政府から独立した議会となります。また、党議拘束を禁止することで、党の政局対応から一定の自由を得られるようにするべきと考えます。選挙制度の改正についても、比例代表で選出された議員が党の意向に背きにくい立場となりますが、中選挙区選出の議員であれば、党に対する発言力は高まります。

    ◆無論、上記対応だけでは、参議院議員を政局から切り離すことは不可能ですし、ねじれ国会党の減少による政治の混乱は発生するでしょう。そこで、もう一点、衆議院で可決した法案を参議院が否決した後のルールを見直す必要があります。具体的には、上記4に示しました国民の目に見えにくい両院協議会の審議方法を透明性の高いものとし、具体的な討論の場に改めることです。

    ◆衆参の議決の不一致が発生した場合、定められた日数の間、両院協議会で議論を行うことを義務付ける。衆議院で法案に賛成した議員と参議院で法案に反対した議員が議論し、法案の修正、あるいは衆参いずれかの議会の翻意を図る。また、この審議の公開を通じて、世論の動向を探り、法案を参議院で再可決するか改廃を求めるかを判断する仕組みとしてはどうかと考えます。

    ◆これは、単に政治の混乱回避のためだけでなく、参議院議員が議員立法により法案を可決し、衆議院が否決した場合に、やはり、その法案の処遇を巡って議論する場を保証することができます。参議院で可決し、衆議院で否決された場合、再可決の制度がありません。しかし、両院協議会の議論を通じて、立法化すべきとの世論が強まれば、衆議院が再可決する道も開けます。

    ◆最終的に衆参の議決の不一致が解消されなかった場合の再可決方法は、現行制度では衆議院での3分の2以上の賛成が必要となりますが、これはハードルが高い制度です。

    ◆上記5で示した内容は憲法の改正が必要になりますが、筆者は両院協議会で審議を尽くしたならば、後は、衆議院の過半数で再可決してもよいと考えます。両院協議会で参議院の反対の方が、筋が通っていながら、再可決を強行することは非常に難しいものです。再可決できるとしても軽々に再可決はできませんし、再可決する場合は、政権与党として覚悟を決めた対応になるでしょう。

    ◆もう一つの方法は、アメリカの制度に習い、両院協議会を経ても参議院が否決する場合、首相に拒否権を付与してはどうでしょうか。これも政権与党としてよほど覚悟を決めた対応が必要になります。なお、拒否権を行使した後、参議院の3分の2で否決された場合、法案を再度否決できるとすれば、首相が拒否権を行使することは、かなり高度な政治判断になるでしょう。

    ◆参議院の質の変化、権限の縮小によって二院制を維持しても、政治の意思決定の混乱を防止することは可能だと考えます。むしろ、デメリットで示しましたように郵政解散など一つの公約で圧倒的な勝利を収めた政党が、その後、公約にない政策を実行したり、憲法改正を推し進められるようになる、といった一院制のデメリットはそれなりに大きいと考えます。


    ◆ご意見にあったもう一点の「国会で議決された法律の憲法・既に施行されている法律との整合性審査等を行う機関」の設置は、筆者は賛成です。ただ、設置場所は行政府ではなく国会の傘下としてはどうかと考えます。行政府に置きますと、立法府の議決を行政府が覆しかねませんので、三権のバランスが崩れるのではないかと考えます。

    ◆もう一点は、単に審査だけでなく、議員立法を補佐する機関として国会傘下に設置してはどうかと考えます。議員立法を行うためには、公務員に相当する法案作成の能力が必要となりますが、現行の議会の政策スタッフでは十分な補佐ができていません。議員立法を促進し、立法府が行政府をコントロールできるような補佐機能があればよいのではないかと考えます。

    ◆筆者としては以上の通り考えますが、いかがでしょうか。また、ご意見を頂戴できれば幸いです。よろしくお願いいたします。



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    2012.01.13 Fri  - 政治 -   コメント 0件

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