※放映されたドラマ、現在公開中の映画の内容に触れる記載があります。これから見る方はご注意ください。

    ◆日本テレビ系ドラマ「家政婦のミタ」の最終回の平均視聴率が40%を超えたとのことです。平均視聴率が10%台となった時代にあって、40%の視聴率を獲得したことは間違いなく快挙といえるでしょう。

    ◆ドラマ離れが叫ばれる中での視聴率40%獲得に驚きを示す報道が多く見られます。ただ、その批評は妥当ではありません。今年度上半期にフジテレビが放映した「マルモのおきて」も最終回の視聴率は23.9%を獲得しました。確かに「家政婦のミタ」より視聴率は低い。しかし、同時間帯にTBSが放映した「仁」の最終回も26.1%を記録しています。

    ◆両ドラマの視聴率を合計すると50%になります。単純に考えると、テレビをつけていた日本国民の半分がドラマを見ていたということになります。ドラマ回帰は今期に始まったのではなく、その下地はすでにあったとみるべきだと考えます。そして、何といってもドラマの成功のカギは脚本と演出にあると、改めて考えさせられます。

    ◆家政婦のミタの成功は松嶋菜々子さんのこれまでの作品とは違うキャラクターや意外なストーリー展開にあるように報じられていますが、やはり脚本がしっかりしていたことが第一です。一話一話の意外性よりも全話を通したストーリーや視聴者へのメッセージ性、よく作り込まれた各キャラクターこそ成功のカギだったと考えます。

    ◆主役の奇行や独特のメイクなど、主演した松嶋菜々子さんにとっては従来のイメージを破る大きな転換点だったと考えますが、松嶋さんの選択は鋭く、また視聴者を引き付けた力はさすがといえます。むしろ、本題に記載のとおり、今期のドラマが始まる前に注目を集めていたTBS系ドラマ「南極大陸」に主演した木村拓哉さんは明らかに失敗だったと考えます。

    ◆以前、何かの番組で脚本家の三谷幸喜氏が納得の行かない脚本の例を示していました。その内容は次の通りです(発言の細部は正確に記憶していません)。

    「ある夫婦が自宅のリビングに入ってきて『それにしても今日の結婚式はひどかったなぁ』という会話が始まる。こういうドラマはおかしい。この夫婦は結婚式会場から帰ってくる間に電車に乗ったり、タクシーに乗ったりしているはずだ。結婚式がひどかったという会話はその帰路にしているはずだ。自宅に帰って来て『それにしても』という会話が始まるのはおかしい」

    ◆まったくその通りだと考えます。脚本は単にテレビ画面に移る部分だけを描くのではなく、描かれない部分まで含めて脚本を作るべきだと思います。

    ◆三谷氏監督・脚本の映画「ステキな金縛り」では、西田敏行さん演じる戦国時代の武将、更科六兵衛が戦国時代のドラマ撮影(戦のシーン)の様子を見る場面があります。六兵衛は感想を聞かれ、「なかなか真に迫っている。しかし、刀で斬られた侍が早く死に過ぎる。普通、刀で斬られると半日は生きている」と話します。三谷氏のこだわりを感じます。

    ◆一方で、ドラマ「南極大陸」は豪華キャスト、壮大なロケこそ迫力がありますが、脚本・演出ともに非常に粗いものでした。

    ◆ドラマは第一次南極観測隊の出発から、第三次南極観測隊の南極到着までの二年間が描かれています。しかし、登場人物の少年が背負っていた妹は全然成長しない。綾瀬はるかさんの演じる教師が教える学校でもクラス替えなどはないのでしょうか。教室の後ろに貼ってある子どもが描いた南極の絵は二年間変わらないままです。習字を貼ったり、違う絵になったりするでしょう。

    ※そもそも当時の一学級の子どもの数は現代よりも多かったのではないでしょうか???教室がはち切れんばかりに子どもがいるという写真を教科書で見た記憶が・・・。

    ◆第二次越冬隊がブリザードに阻まれ、南極に渡れず、昭和基地は一年間放置されます。木村拓哉さん演じる観測隊員が一年ぶりに昭和基地に到着した際、基地に掲げられた日の丸が真ん中からちぎれていました。旗がちぎれる程の強風が吹いたなら、ちぎれる前に、旗まるごと飛んでいくのではないでしょうか。

    ◆なんといっても犬ぞりの犬が亡くなっていた際に、木村拓哉さんが「まだ温かいじゃないか」というセリフを発するシーンは疑問です。いかに厳冬期でないとはいえ、南極大陸で亡くなった犬が温かいということがあるのでしょうか。木村さんほどの役者であれば、セリフに注文をつけることもできるはずです。せめて「待っていてくれたのか」くらいにとどめればと感じます。

    ※他にも亡くなった8頭の犬を木箱に入れ、日の丸で包み、南極海に葬るシーンがありますが、その木箱も8枚の日の丸もどこから持ってきたのでしょう・・・。アメリカ兵の葬儀のシーンを真似ただけでは?といううがった見方をしてしまいます。

    ◆「家政婦のミタ」はコンテンツがしっかりしていれば視聴者は見る、という事実を明らかにしました。逆に俳優の知名度に頼るだけのドラマは一定の視聴率はとれても満足度で上位にランクインできるか不透明です(南極大陸の満足度は不明ですが筆者は不満です)。ドラマも映画も脚本が命です。俳優のトム・ハンクス氏やブラッド・ピッド氏は脚本を読んで出演するかどうかを決めるそうです。俳優のキャリアも脚本の選択によって変わっていくかもしれません。

    ◆なお、筆者個人としては、今年のドラマの中では「仁」が最高でした。ちなみに、「私が恋愛できない理由」の大島優子さん(AKB48)の演技が意外に自然体で、ドラマにはまっていることも驚きでした。来年もよいドラマが多数製作されることを祈ります。脚本家の皆さん、来年もよろしくお願いします。

    スポンサーサイト
    2011.12.22 Thu  - 文化 -   コメント 0件

    コメント

    コメントの投稿












    トラックバック

    トラックバック URL
    http://olddesk77.blog97.fc2.com/tb.php/423-72fb4d08
    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)